若者の車離れが駐車場経営に与える影響

「車離れ＝車に興味がない」ではない

「若者の車離れ」とよく言われますが、必ずしも若者が車そのものに興味を失っているわけではありません。

株式会社KINTOが実施した【2025年版】Z世代のクルマに対する意識比較調査によると、Z世代の約7割が「運転が好き」と回答しており、約7〜8割が「将来的に自動車が欲しい」と考えていることがわかりました。

出典元：株式会社KINTO　https://kinto-jp.com/　【2025年版】Z世代のクルマに対する意識比較調査 

この結果からもわかるように、「車を所有しない＝車に関心がない」とは言い切れません。実際、多くの若者は運転そのものに対してはポジティブな意識を持っています。

とはいえ、実際に車を購入しようという動きにはつながっていないのが現状です。

その背景には、自動車の価格や維持費の高さといった経済的な負担が大きく影響していると考えられます。また、移動手段の多様化も影響しています。

車を「所有する」ことよりも、「必要なときに使えればいい」と考える若者が増えており、カーシェアやサブスクリプションサービスを利用するケースが一般的になりつつあります。

駐車場経営への影響

車を所有しない若者が増えている一方で、カーシェアやサブスクリプションサービスの普及により、一時的な駐車ニーズは依然として存在しています。

そのため、コインパーキングの需要がすぐに消えるということは考えにくいでしょう。

では、こうした変化は駐車場経営にどのような影響をもたらすのでしょうか。

運転に不慣れな利用者の増加

車を日常的に使わない人でも、必要に応じてカーシェアやレンタカーを利用するケースが増えています。

つまり、運転に不慣れな人がコインパーキングを利用する機会が増えているということです。

このような利用者の変化により、駐車場側には以下のような対応が求められます。

• 入出庫や駐車がしやすいレイアウト設計
• 多様な決済手段の導入
• 安心できる保険やサポートへの加入

運転に不慣れな人にとって、駐車のしやすさや安心感は大きな決め手となります。

利用者視点に立った設計が、今後のコインパーキングにはより重要になってくるでしょう。

月極駐車場の空きの増加

若者の車離れの影響により、月極駐車場の空き区画が埋まりにくくなる傾向が見られます。

実際に、都市部のマンションやアパートに併設された駐車場では、住人が車を持たないことで空き区画が埋まらないという問題が出てきています。

こうした状況に対する対策として、空き区画が埋まるまで「時間貸し駐車場」として運用する方法が有効です。

最近では、「駐車場シェアサービス」などを活用することで、簡単に空きスペースを貸し出せる仕組みが整ってきています。

月極駐車場の経営においては、こうした柔軟な対応が必要になっていくでしょう。

まとめ

若者の車離れが進んでいるとはいえ、運転に関心を持っている人も多く、「車離れ＝車に興味がない」とは一概には言えません。

カーシェアやレンタカーの利用が広がる中で、コインパーキングなど時間貸しの駐車場は、今後もしばらく一定の需要が見込まれると考えられます。

一方で、車の所有を選ばない若者が増えていることから、月極駐車場では空き区画が目立ち始める懸念も出てきています。

「車を持つことがステータス」という価値観は徐々に薄れてきており、今後はますます、必要なときだけ車を利用するスタイルへとシフトしていくと考えられます。